SPARKID(主人公視点)

 地中活動が原因と見られ、大気中(主に地表)に高濃度の放射性物質「ラドン」を検出した、レクロン国最西端に位置する「アリバス島」。その放射能汚染の影響もあり、別名「ベノム島」と名付けられ、多数の上位研究員グループが防具服を着用した上で足を運びそれぞれ調査を行なっていた。そんな中、アリバス島の地熱発電利用の意見が出され実行となり、建設工事が始まった。その工事中の出来事である。

未確認の高性能な原子が発見されたのだ。

研究員はすぐさまその原子を分析し、その結果が出た頃には「素晴らしい」という意味、それも上等に当たる意味の「Superd」を使って「SUPATOM(スパトム)」と名付けられた。その直後、レクロン国の隣のフラーハイブ国が「領土問題」という名目で戦争を仕掛けてきた。2年間にわたる戦争のすえ、レクロン国の勝利に終わった。
そしてこの問題は、レクロン防衛省から俺が所属する国立最高決定機関、通称「NSDO」(National Supreme Decide Organization)に回され、領土の新制が促された。
そこで俺は、今後フラーハイブに賭ける意味もあって「領土の変更は一切行なわないのはどうだろうか?」と発言した。
運良く賛成多数で可決された。


あれから数年後、アリバス島の汚染問題は解決しスパトムの平和利用が、レクロン国内の経済競争のようになっていた。俺は、フリーの賞金稼ぎとして主に追跡や調査の依頼を受け、任務に専念する毎日を送っていた。
10月28日、俺はフラーハイブ国のスパイの追跡中で主都エクシル市に来ていた。聞き込みや監視カメラのデータの提供もあり、いつもの様な3日位の辛抱だと思っていた。

あの暗黒の空は、俺をこんな立場へと誘い込んだ。

穏やかだったはずの青空は一変し、その空は空爆機に覆われていた。
フラーハイブ国は、レクロン国に対して挑発し、領土問題を再び挙げた。レクロン国はこれに対し本格的な武力行使を実行に移そうとしていた。そんな中、レクロン軍の部隊の一部はエクシル市で救助作業を行なっていた。死者6万人、重傷者数千人にものぼる事態だった。空爆の被害地であるエクシル市の中心にいた俺は、自己再生不可能の部位があったが、かろうじて生きていた。
そんな俺に、一人の科学者が、
「脳以外の細胞を新素材の人口細胞に細胞転換して、命を張る立場に立ってみないか?手術料は結構高値だが・・・。」
と問いかけてきた。

もしここで断っていたら、おそらく後悔していただろう。

俺は、少し間を取って・・・、
「ああ、その立場に立ってみるよ。」
と言った。

そして、数ヶ月が過ぎただろう。
俺は、バトルスーツを身にまとい、中型輸送機に搭乗し、ブリーフィングの確認をしていた。
今から俺は「首都奪還作戦」と命名された任務に、命を張る立場に立って遂行する・・・。